2018年 05月20日(日)B年  聖霊降臨
今日の聖書

第一朗読   使徒1,2-11

第二朗読  ガラテヤ5,16-25

ヨハネによる福音書 15,26-27、16,12-15
 
 わたしが父のもとからあなたがたに遣わそうとしている弁護者、すなわち、父のもとから出る真理の霊が来るとき、その方がわたしについて証しをなさるはずである。あなたがたも、初めからわたしと一緒にいたのだから、証しをするのである。
 言っておきたいことは、まだたくさんあるが、今、あなたがたには理解できない。しかし、その方、すなわち、真理の霊が来ると、あなたがたを導いて真理をことごとく悟らせる。その方は、自分から語るのではなく、聞いたことを語り、また、これから起こることをあなたがたに告げるからである。その方はわたしに栄光を与える。わたしのものを受けて、あなたがたに告げるからである。父が持っておられるものはすべて、わたしのものである。だから、わたしは、『その方がわたしのものを受けて、あなたがたに告げる』と言ったのである。」


 
 「ペンテコステ」または「五旬節」という言葉は、ユダヤ教の過越の五十日目を意味し、それは、つまり過越から七週間プラス一日のことです。 この伝統的な祝いは、収穫の祝い日です。 神から受けた豊かな穀物を感謝するために、人々は最初に刈り取った麦の束をささげます。 と同時に、神が民に与えたイスラエルの国の肥沃な土地のため、そして、その民と結ばれた契約がもたらす絶えることのない祝福のために、人々は五旬節を祝います。

 使徒言行録の話では、キリストによって「神の新しい民が選ばれ」、そして「その民と新しい永遠の契約が結ばれた」ことを教え説明します。 ちょうど人が役に立たない紙を破るように、キリストが死んだ時、エルサレムの神殿の垂れ幕が上から下まで真っ二つに裂けたことは、神の旧約の契約が終わったことを具体的に示しました。 事実、過越の小羊であるキリストの血によって定められた新しい契約は、全世界に神の救いを提案します。

 聖書のすべての物語は、神がますます人々に近づきたいことをよく見せています。 しかし旧約聖書によれば、神と出会い、神に祈るために人々が飛び越えてはならない距離がいつも残っていました。 ご存知のように、旧約時代は一年に一回、大祭司だけが神殿の中に入ることが許されていました。 民はいつも神殿の境内で祈っていました。 主イエスのおかげで、神はもはや「私たちと共におられる神」ではなく「私たちのうちに留まる神」となりました。 そのために、私たちが神の留まる神殿となるように、イエスは私たちに聖霊を豊かにお与えになりました。

 聖霊は七つの賜物をもって私たちを形づくります。 それは、新しい約束された地として、私たちが神に豊かな穀物を実らせるためです。 また聖霊は私たちが世を照らす光となるように、私たちの心に普遍的な広さをつくり上げます。 私たちの信仰生活や祈りや愛が、限りのないものとして、世の果てまで私たちを導かなくてはなりません。 今日の聖パウロのガラテヤの信徒への手紙の言葉に従って「わたしたちは、霊の導きに従って生きているなら、霊の導きに従って前進するべきです」(参照:ガラテヤ5,25)。

 聖霊降臨の日に生まれたキリストの教会は、聖霊に満たされているので絶えず前進します。ある文化、あるいは様々の伝統的なやり方などに教会は凝り固まってはいけません。 これこそが「カトリック」の所以(ゆえん)であり、私たちの信仰宣言ではっきり教えているように「普遍的な教会」です。 昔の典礼が良かったと言って自分に閉じこもること、あるいは自分の信仰を持っていない人を無視し軽蔑することは、キリスト教的な態度ではありません。 聖霊の力がいつも他の人に向かって私たちを遣わすのは、その人を理解し慈しみで包むためです。

 聖霊降臨の出来事は、キリストの血によって贖(あがな)われた人類を、愛の完成まで導く大きな道を開きました。 真理の霊はローマ教皇と司教たちだけに与えられているものではなく、すべてのキリスト者に与えられています。 そういう訳で、私たちは希望と幸せをもたらす言葉と行いによって、生き生きとした証しを人々に与えなければなりません。 言い換えれば、聖霊には実現するべき、ただ一つの務めがあります。 それは「わたしたちを導いて真理をことごとく悟らせる」(参照:ヨハネ16,13)という務めです。

 「キリストを離れて、わたしたちは何もできません」(参照:ヨハネ15,5)。 しかし「私たちを強めてくださるイエスのお陰で、わたしたちにはすべてが可能です」(参照:フィリピ4,13)。 救いと愛の力である聖霊が私たちの弱さを通して、神が永遠の愛で私たちを愛すること、実にイエスが生きておられること、そしてキリストの教会が本当に光と真理の道であることを証しする勇気を与えますように。 アーメン。


            グイノ・ジェラール神父

日曜日のお説教



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