今 月 の こ と ば
2018年07月
小鳥の3つの真実の言葉

森に小さな小鳥がいました。毎日、楽しく遊び回っていた小鳥でしたが、ある時狩人の罠にかかってしまいました。生き残るために小鳥は次のような申し出をしました。「狩人さん、私を自由にしてください。その代わりに一生役に立つ三つの真実の言葉を教えます。それは決して私が逃げるために言うのではありません。第1の真実の言葉は、あなたの手の中に捕まえられている今、打ち明けます。第2の真実の言葉は、あなたの肩の上で打ち明けます。最後の第3の真実の言葉は、近くの木の枝の上で打ち明けます。そうすれば、いつでもあなたは私を捕まえることができます。」狩人は小鳥の言葉を信じ言うとおりにすることに決めました。「もし、俺に3つの真実の言葉を教えてくれたら命を救ってやろう」と狩人は約束しました。

 小鳥は3つの真実の言葉を話し始めました。「第1の真実とは『失われたものに対して後悔しないこと』です。人生は常に前に向かって進んでいるので、過去の出来事に対する後悔や悔しさは、人生に対して邪魔なものです。明日という日は決して昨日に脅かされていないはずです。過去に閉じこもる人は決して幸せになれません」と小鳥は説明しました。狩人は少し考えてこの教えに賛成したので、小鳥は狩人の手の中から離れ彼の肩の上に飛んで来ました。

 「第2真実とは『非常識ででたらめの話を信じないこと』です。非常識で出鱈目の話を聞いたら、それを信じる前にまず証拠を求め、詳しく確かめなさい」小鳥はそう言いました。狩人は、この教えも役に立つと思い、小鳥が近くの木の枝に飛んで行くことを許しました。

 木の枝の上から小鳥は続けました。「第3の真実とは『あなたは愚かな人であるということ』です。私の胃袋の中に50グラムの二つのダイヤがあります。私を自由にしてしまったので、そのダイヤを手に入れ損ないました。それどころか、私の肉で美味しいご馳走を作るチャンスも失いました。私は約束通り3つの真実の言葉を語りましたので、私の命は救われました」そう言って小鳥は笑いました。狩人は非常に恥ずかしくなり、小鳥を自由にさせた自分の愚かさを悔やみました。

 それを見て小鳥は言いました。「あなたは本当に愚かな人ですね。第1の真実で『過去について後悔しないこと』と言ったのに、もうあなたは後悔しています。第2の真実の言葉で『非常識で出鱈目な話を信じないこと』と言いましたよね。よく考えてください。私の体は小さく体重は30グラムもありませんよ。ですから、私の胃の中に50グラムもあるダイヤを2つも入れることはできないしゃありません。あなたも他の狩人と同じ愚かで騙しやすい人ですね」と言うと、小鳥は安全な所へ飛んで行ってしまいました。

 聖書には「すべてを吟味して、良いものを大事にしなさい。あらゆる悪いものから遠ざかりなさい」(参照:1テサロニケ5,21-22)とあります。巧みな作り話に」(参照:2ペトロ1,16、テトス1,14)耳を傾けないように教えています。また「真理はあなたたちを自由にする」(参照ヨハネ8,32)とイエスは断言しました。過去の後悔が私たちの心を傷つけることのないように、また、非常識で出鱈目の話が私たちの人生に害を与えないように注意しましょう。そして真理を揺ぎ無い土台にし、今日の現実にしっかりと足を下ろし、力のかぎり未来に向かって進む懸命な人間になりましょう。そして本当の自由の素晴らしさを深く味わいましょう。


                         主任司祭 グイノ・ジェラール神父
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