今 月 の こ と ば
2015年01月

子ライオンの発見
 
  ある日、とても強くて大きいな美しいライオンは、羊の群れの中で遊んでいる子ライオンを見つけました。 この子ライオンは、まるで羊のように草を食べ「メェーメェー」と鳴いていました。 もしこの強いライオンが、聖書を読んでいたなら、イザヤの預言が実現されたと思ったに違いありません。 「子ライオンも牛もひとしく干し草を食らう」(イザヤ11,7)。しかしこの強いライオンはそれを知らなかったので、非常に驚きました。 辺(あた)りの様子をよく見て、羊の群れを怖がらせないように、彼は子ライオンにゆっくり近付き、そばに来るように合図しました。
 
  少し不安を抱いて子ライオンは好奇心をそそられていたので、大きなライオンに近寄りました。 「君は、一体ここで何をしているんだい?」と大きいなライオンは尋ねました。 「僕(ぼく)は子羊です。 この群れに属しているんだよ」と子ライオンは元気な声で答えました。 「いいえ、それは違うよ!君はライオンの子供だよ」と強いライオンが言いましたが、子ライオンはそれを認めようとしませんでした。「僕(ぼく)は子羊です。 だって美味しくて柔らかい草を食べるし、皆と一緒に遊んだり、散歩したり、寝たりしているもの…」と子ライオンは誇りを持って言い返しました。強いライオンは、この子ライオンには、はっきりした証拠を見せない限り、彼は絶対に信じないと分かって、子ライオンを近くにある川まで連れて行きました。  

  「私と同じようにしないさい。 水の中に映っている君の顔と私の顔と比べてみなさい。 同じように見えませんか?」と強いライオンが聞きました。 水の中に映った自分の顔が強いライオンの顔によく似ていることを見て、子ライオンは大きなショックを受けました。 そこで、強いライオンは優しく彼を力づけながら、次の説明をしました。 「君は間違いなく子供のライオンです。 もう、君は羊たちと一緒に暮らすことはできません。

何故なら君はいつか私と同じように強くて大きなライオンになるので、その時羊の群れも人々も皆、押さえることの出来ない恐怖を感じて、君から逃げるか君を殺すかどちらかです。 ですから、私は君にライオンの生き方を教えたいのです」と大きなライオンは言いました。 彼の長い話を聞いてから、子ライオンは羊の群れから離れ、大きなライオンの指導を受けながら、彼に従ってライオンらしく生きることを決心しました。 「僕は今すぐに羊の生き方を忘れて、それを捨て去ることは難しいと思います。 ですから僕が完全なライオンになるまでに、必要な時間をください」と、子ライオンは願いました。 「当然です」と強いライオンは答えました。

  この子ライオンのように、間違って私たちは「人々の群れ」に属していると思うので、彼らと同じ生き方をしているのではいないでしょうか。 人間の世界に属する者として私たちは働いたり、食べたり、飲んだり、遊んだりします。 しかし、いくら人間に相応しい生き方を送っても、洗礼の恵みを受けた私たちは「神の子」です。 イエスを信じている私たちは、神の似姿で創られ、神の栄光で包まれていることを知るようになりましたから、もはや一般の人のように生きることが出来ません。

  「ユダのライオン」(黙示5,5)と名付けられているイエスは、キリスト者の正しい本性とそのアイデンティティーを教え、それを見せる為にこの世に来られました。 また私たちが神の子として生きるように、イエスは自分に従って歩むことを優しく誘い教えます。

  自分を騙(だま)すことがないように, 即ち世間の流れにありのままに流されない為に、キリスト者はイエスの知恵の言葉や真理に溢れる教えに従って、神の子として生きようとします。 愛の完成まで導かれるために、イエスはいつも私たちに回心する為に必要な時間を与えてくださいます。 ですから、新しい年の時の恵みを無駄にしないように、神の子の生き方を益々学びましょう。 この羊の年に当たって、自分が誰であるかをきちんと理解し認めて、神の子としてこの世で生きていこうと決心しましょう。 神が私たち皆を愛の完成にまで導きますように、心より祈っております。


                           主任司祭 グイノ ・ ジェラール神父
「今月のことば」目次へ
     HOMEへ