今 月 の こ と ば
2012年6月
生き方を調整しましょう!  人生を調弦しましょう!
  
全ての弦楽器は大気の変化に非常に敏感である。この種類の弦楽器は他の楽器の音に合わせるように音楽家が絶えず調弦する。 様々な変化に対して敏感である私たちの人生についても同じことが言えるのではないか? やはり命は バイオリンやハープやチェロやギターのように微妙に繊細であると同時にもろいものではないだろうか? 私たちの生き方はとても壊れやすいものである。
 
 乱脈で、思いがけない出来事、急に襲ってくる災害のせいで 私たちの方からは音楽がもう出てこない事があるのも事実である。 更に、私たちが犯した罪のせいで、私たちの音を神との一致の音叉に合わせる必要があるに違いない。 調和を作り上げるこの小さな「ラ」と言う調律の音符に合わせるために 時間を取るのは肝心である。 さもないと、決して皆と一緒に、皆と合わせて自分の楽譜を演奏出来ない。

  神が私たちを創造したのは 賛美と感謝のためで、決して不協和音と耳障りな音を出すためではない。 「神は、聖所におられ、イスラエルの民の賛美の上に坐する方」であることを 詩編22,4は教えている。 苦情や不平や不満のためではなく 賛美するために 私たちは造られ、さらに、天使の歌声に合わせて永遠に歌うように命の恵みを受けた。 確かに、賛美と感謝は天使と聖人の特徴であり、それに自分たちの声を合わせるなら、私たちが天国の雰囲気や天使と聖人の交わりにあずかる。 

  賛美と感謝を歌う事は信仰の選びであると同時に信仰の行いと信仰の態度(姿勢)である。 それによって、私たちに 神や人や物事の神秘性を探るために 新しい眼差しを与えられている。 
そういう訳で私たちの生き方が あらゆる面で、神と一致するように、絶えず調律する努力が不可欠である。 神と人々との一致を失う理由は 私たちが もはや出来事や物事を大切な印としてではなく、ただ、普通の出来事や物事として見るからだ。

  目に見える出来事や物事を 人と出会い、助け、励まし、慰めるための誘いの印として見れば、必ず 私たちの人生が神の楽譜と一致し、従って、調和とハーモニーは世界に満ちる。 神を賛美する人、また、人に感謝する人は 決してこの世界の苦しみや災害を忘れない。 賛美する人の心から出て来るメロディが 他の人々に「ありがとう」や「心から感謝します」を言わせるのに力となる。 すべての困難と思いがけない出来事の真っ只中に置かれても 神と人々の心の音叉に自分の生き方を合わせる人は 自分の幸せを保ち、打ちひしがれている人に希望を与え、明るい未来の門を開く。
 有名なインドの詩人タゴールは神に次のように願った。「私が頂いた命を真っすぐで、単純なものにしたい、ちょうど、アシ笛のように。 それは、あなたが神よ、このアシ笛から限りのない美しいメロディを引き出すように。」

  同様に キリスト者である私たちは 神の手の中にあって、正しい音や美しいメロディを引き出す楽器となるように、絶えず、私たちの生き方を調整することが不可欠であると私は思う。

                            主任司祭 グイノ ・ ジェラール神父
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